コープさっぽろ農業賞

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2020年6月25日

「地元からブランド牛を」

上川町の“農業法人 有限会社グリーンサポート”は「大雪高原牛」の生産や
畑作といった自社事業のみならず、地元農家の農作業受託、
新規就農者支援など多岐にわたり、町の一次産業を支えています。
コープさっぽろ農業賞を受賞した2009年は、設立から11年後のこと。
まだまだ課題の多い時期だったそう。

取材・文/青田美穂  撮影/石田理恵


アンガス種から地元のホルスタイン種へ

 コープさっぽろのPB(プライベートブランド)である“黄金そだち”シリーズ。休耕田を活用して生産した“道産飼料米を食べて育った牛、豚、鶏の関連商品”に冠されるブランドで、肉のほか牛乳や卵、乳製品などの加工品も展開しています。

 (有)グリーンサポートで生産している大雪高原牛もエサに道産飼料米を取り入れており「道産米で育てた黄金そだち」のシールが貼られ、店頭に並んでいます。

上川町と愛別町産の飼料米を発酵させた“もみ米サイレージ”を食べて育つ「黄金そだちの大雪高原牛」

 (有)グリーンサポートの畜産部門は、それまで国の事業として行われていたアンガス牛の飼育が立ち行かなくなり、土地も牛も全て引き継ぐ形で始まりました。先行き不透明な中、肥育の品種をアンガス種から町内で生まれるホルスタイン種に転換し、名前も大雪アンガス牛から「大雪高原牛」へ変更。

 農業賞受賞当時は大雪高原牛の名も今ほど知られておらず、やっと組合員さんに浸透し始めたという頃。代表の藤田さんは「売上は少しずつ伸びてはいたものの、課題も多い中での受賞でしたね」と振り返ります。

(有)グリーンサポートの代表を務める藤田輝雄さん。畑作農家を経て2006年から現職に

町内一貫飼育と循環型の実践

 大雪高原牛ならではの特徴として、肉牛生産の定説を覆す「町内一貫飼育」があります。市場で子牛を買い、専門農家に預けて育てるのが一般的ですが、(有)グリーンサポートの牛の半数以上は地元・上川町生まれ。町内で生まれた子牛を引き取り、自社の牧場で肥育しています。牧場で出る牛糞は堆肥にして自社や町内農家の畑へ還元。この「地域循環型農業」も農業賞受賞に際し、高く評価されました。

上川町生まれの子牛は、出荷まで一度も町を出ることなく安心・安全に育ちます

 「農業賞を受賞してから、組合員さんと交流する機会が増え、いろいろな取材や視察の依頼も数年続きました。それまでは生産活動がメインでしたが、環境整備にも目を向けるようになり、牛肉以外の農産物の販路も増えましたね。また“食べる・たいせつフェスティバル”をはじめ、さまざまなイベントで各地へ足を運ぶようになり、私たちも仕事における楽しみが広がりました」(藤田さん)。

 コープさっぽろとのつながりから、道産飼料米をエサに取り入れたのも、農業賞受賞後のこと。独自の飼育スタイル、循環型、そして黄金そだち。「大雪高原牛」は、他にない個性を持つブランド牛へ成長してきました。

年に一度、組合員さんとの産地交流を実施

体験や見学の後は、大雪高原牛を味わう焼肉タイム!

「気持ち」のわかる人を育てたい

 食べてもらえれば、おいしさがわかる!産地交流ではこんなエピソードが。

 「毎回、バーベキューハウスで大雪高原牛を焼肉で味わってもらうのですが、予想以上に皆さんがたくさん食べてくださり、一人300g平均で用意した肉が途中で足りない!と。JAの方が、慌てて追加の肉を取りに走ったこともありましたよ(笑)」。

一番脂が多いバラでもくどさがなく、赤身の旨みが堪能できます

 「大雪高原牛を通じて、地元・上川町を知ってもらえるのは、作り手にとって大きな喜び。価格は輸入牛に負けますが、道産牛をたくさんの人に食べてもらいたい!」。これは、愛情を注いで育てている皆さんの願い。

 上川町も他地域と同じく、高齢化、人口減少の問題に面しています。(有)グリーンサポートでは、未来の担い手を育てるべく研修生の受け入れや、新規就農者支援にも力を入れており「農業に夢を持った若い人たちが、いっぱいいる会社にしたい。今後、自動化やAI化が進んでいくと思いますが『作物や動物の気持ちがわかる人』がいっぱいいる会社がいいなぁ!」と藤田さん。

 元気な会社が、元気な地域を作る。そのために「人を育むこと」も大事な使命だと考えています。

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