森づくり活動

「コープの森」森づくり

北海道をはじめ、行政や地域自治体と協定を結んで森づくりを進める「コープの森」は2021年現在、16箇所に存在しており、北海道内全域での森づくりを展開しています。その植樹本数も10万本を超え(※)、さらに広がることが期待されています。コープの森の森づくりの内容はそれぞれ異なっていて、広葉樹を植えるところもあれば、地域の森林組合の方針にそって針葉樹を植えるところもあります。
(※植樹本数は、あすもりが助成する北海道ぎょれんの「お魚殖やす植樹運動」を含む)

森林には多様な価値と機能があることが知られています。たとえば多様な命を育む生態系であったり、炭酸ガスを吸収して地球温暖化を防止したりする、いわゆる生態系サービスでは森林は非常に大きな役割を担っているとされています。また、直接的に社会に関わるものとしては水源涵養や土地の保全、木材やエネルギー源としての林産物であったり、あるいはレクリエーションの場であったり。特に北海道は森林面積が大きいために森林資源としての側面も大きいとされています。
こうした多様な価値と機能を担保するためにも、コープの森は多様な森づくりのあり方を大切にしています。それぞれが違う森づくりのやり方を進めているのも、そのためなのです。

Fの森 -あすもりが目指す市民の森づくり-

コープの森の多様な森づくりの中でも特に力を入れている象徴的な位置づけで行われる森づくりの場が「Fの森」です。
通常、「植林地」には同一の樹種(多くは針葉樹)が整列して植えられていますが、これはその後の草刈りや除伐・間伐などの管理を効率良く行なうための、日本が築き上げてきた林業の方法だからです。市民が行なう「森づくり」もこの方法が取り入れられているケースが多くあり、一般的には森づくりはイコール植林と解釈されがちかもしれません。
「Fの森」では広葉樹や針葉樹が一見ランダムに、バラバラに植えられています。つまり、自由な「植林地」。それが、「Fの森」の姿です。

北海道との森づくり協定の下、道民の森神居尻地区(当別町)の旧牧草地であるFの森で試みられている森づくりは2つの点において特徴的かつ先進的といえます。
ひとつはその土地の地形と履歴をベースに、原生の植生や樹木の生態にあった植樹を行っていること。もうひとつは森づくりの計画段階において、市民の意見を積み重ねて、市民自身がどのような森にしていくかを考えて植樹計画のベースを作っていることです。

Fの森は地形が複雑で水環境が多様です。だからどこに何を植えても育つわけではないし、もちろん「植林」における画一的な植樹もできません。じっくりと現地を調べ、どこが湿っていてどこが乾燥しているのか、元から生えている樹木と見比べながら植樹地の特性を捉えます。その結果を理解し、現状の植生や生き物たちの暮らしを頭に入れ、ではどんな森を作っていこうか、と考えるのです。たとえば、Fの森の牧草地跡にはカタクリの群落がありますが、通常カタクリは春先には明るく日光が入る広葉樹林の林床に群落を作るので、牧草地で見ることは珍しいのです。ところが牧草地の牧草も春先には枯れた草が雪に押しつぶされていて日当たりがよく、夏には草が伸びて日光を遮ってしまう環境自体は広葉樹林の林床とよく似ていて、カタクリにとっては林床も牧草地も、実は似た環境だということに気づきます。では、この貴重なカタクリ群落をどのように扱うのか、というところから森づくりの議論は進んでいきます。こうした調査を繰り返すことで小さな沢筋の生き物たちや自生するオニグルミ、ヤチダモの木々に気づき、これからつくっていく森との関わりについて考え、学びます。森づくりは学びの過程でもあるのです。

次に、100 年先の未来にどんな森を残したいのかを考えます。孫の世代に残したい森は、動物がたくさん訪れる森、木の実をたくさん食べられる森、野鳥を観察する森、リースの材料を取る森・・・未来の森を想像する作業は楽しいもの。そこに、調査してわかった情報を重ね、原生の樹種を頭に入れながら何の樹を何本植えていくのか、プランを作成していきます。

これらの作業は、森づくりの主体である参加者(市民)自身が行います。もちろん森林の専門家の手助けを受けますが、植樹地を歩き、学び、計画するプロセスを、プロではなく市民が担っていることこそ、Fの森の森づくりの最も大切な特徴なのです。
一般的には植樹祭などで樹を植えるイベントは多く行なわれていますが、参加者は事前に準備された樹の苗を、森林計画も何も聞かされないまま植えて終わり、その後苗樹がどうなったのかなどを知る機会はほとんどないでしょう。「Fの森」では植えた樹を再訪し、樹が育つための「育樹」作業まで行っています。だから、 森づくりに関わる市民の「Fの森」への想いは、とても深いのです。

Fの森の森づくりの主人公はこのように、森づくりに参加する市民自身です。一方で、林業や自然について素人である市民が全ての行程を行えるわけではありません。つまり、市民を適切にサポートする仕組みが必要です。
このサポートを森づくりの専門家として担っているのが雪印種苗(株)であり、森づくり計画はもちろん、苗木の準備などの技術的な面をフォローしています。また、市民の学びを導くためのプログラムを作ったり森づくり全体をコーディネートする場面では市民活動に長けたNPO法人北海道市民環境ネットワーク(きたネット)やNPO法人もりねっと北海道、NPO法人ezorockがその役割を担当しています。あすもりとこれらの企業・団体とのコラボレーションがあってこそ、「Fの森の森づくり」は大変ユニークな森づくりとして評価されているのです。

「Fの森」の植樹地は整然としていません。一見さまざまな樹種が自由奔放に植えられているから、「森づくり=植林」を想像した人にはイメージのギャップがあるかもしれません。しかし、この自由奔放に見える植樹地には、市民が自ら歩き、学び、コラボレーションする企業や活動を支える市民団体とともに100年先の森の姿を考え、計画した「未来の森づくり」の想いがこもっているのです。

森づくり団体交流

自治体と森づくり協定を締結した地区委員会では毎年植樹祭を開いてきました。各地の組合員さんがこうして森づくりに参加してきたのですが、各地の協定が始まっておおよそ10年が過ぎ、更新が終了する地区も出てきました。この先は植樹ではない、一段進んだ森づくりに、組合員さんが参加できるような仕組みが必要になってきたのです。

いろんな団体と、いろんな森づくり

そこで始まったのが「森づくり団体交流」です。北海道内にはたくさんの森作り団体があって、その森づくりの方針も様々。多様な森づくりが進んでいます。そのたくさんの団体と一緒に、組合員さんたちと植樹だけではない少し深い部分まで踏み込んだ森づくりをしていけるのではないか、というのがこの団体交流の狙いです。
2020年、未曾有のコロナ禍にあってあすもりが関わるほとんどの森づくり活動が中止になったり、ごく身内での活動に終わったりしました。2021年の森づくりシーズンにもコロナをめぐる大きな動きはなく、引き続き細々とした活動が続いています。しかしこんな今だからこそ、次の森づくりに向けてできることを一歩一歩進めていこうと、森づくり団体交流のお試しが始まりました。

・森で過ごす「楽しい時間」を知ってほしい(旭川地区委員会)
6月も終わりの暑い日、集まった地区委員と職員が向かったのは旭川のはずれにある天然林。ここでは旭川の森づくり団体「もりねっと」の皆さんが手入れを続けていて、森の中を歩けるトレイルやたき火のできる広場、休める小屋などが整備されています。案内してくれたのは、「Fの森」の森づくりでも講師を務める山本牧さん。この森の持ち主でもあり、管理人でもあります。
山本さんが森を歩きながら話してくれることには、森ではそれぞれの木々がそれぞれの生態を持っていて、得意不得意がありながら自分の長所を生かして生存競争を繰り広げています。たとえばシラカンバはまだ荒地の頃に一番早く芽を出して大きくなる、その分日当たりが必要で寿命は短め。ミズナラなどはシラカンバが大きくなってから生えてくる。日当たりが悪くても育ち、長寿、などなど。
こうした木々の特徴や森の様子を見ながら、例えば細く弱い木は間引いたり、次に育つ木のために森に光を入れるように伐採する木を考えたりと、どんな森を育てていくのかを考えながら手入れを進めることなどを話してくれました。
そして実際に間伐作業を体験。樹齢50年を超えるシラカンバを交代しながらノコギリ一本で伐り倒し、その初めての迫力にみなさん圧倒されました。

そのあとはたき火ゾーンで火を囲み、マシュマロや野菜などを串に刺して焼いたり、山本さんから森の話を聞いたり薪割りやチェーンソーの体験をしたり、森の中で楽しい時間を過ごしてみました。
この地区委員会では、「もりねっと」との団体交流で一年を通じて同じ森の違う季節を楽しむことを考えているとのこと。こうした「森で楽しむ時間」を組合員さんたちと共有することを2022年度の目標にしています。

このような形で、今、森づくり団体と交流しながら次なる森との関わりの場をどう作っていくか、という試みが進んでいます。植樹だけではない、コープだけではない、様々な森づくりの形や森との関わり方を、森作り団体と組合員のみなさんと一緒に紡いでいきたいものです。

2023年度 植樹祭

新型コロナウイルスの感染防止策を徹底したうえで、一部地域の植樹祭の参加者募集を再開いたします。
詳細は各地区の地区ニュースでご確認をお願いいたします。(感染拡大状況によっては中止となる場合がございます)

●釧路地区 白糠町 5月27日開催
 お問合せ先:TEL 0154・91・9151(湯谷) メール t.yutani@sapporo.coop

●帯広地区 新得町 5月14日開催
 お問合せ先:TEL 0155・33・9587(長尾) メール h.nagao@sapporo.coop

●北見地区 美幌町 6月24日開催
 お問合せ先:TEL 0157・67・6800(日野) メール y.hino@sapporo.coop

道民の森〈Fの森の活動〉【森づくりワークショップ】

新型コロナウイルスの感染防止策を徹底したうえで、植樹祭の参加者募集を再開いたします。
詳細は地区ニュースでご確認をお願いいたします。(感染拡大状況によっては中止となる場合がございます)


●札幌東地区 当別道民の森 6月10日開催
 お問合せ先:TEL 080・2877・8562(竹田) メール a.takeda@sapporo.coop

森を楽しみながら自由にデザインしてみよう

森を想い、風土を感じ、そこにあるべき森を育てる
「コープ未来の森づくり基金」では2012年から、森について、樹木を育む環境について、森の生きものたちについて学びながら、当別町 道民の森「Fの森」の森づくりのデザインをするワークショップをスタートしています。

コープさっぽろ環境推進グループ

TEL:050-1751-4868

受付曜日:月~金曜日

受付時間:10:00~13:00

FAX番号:011-671-7575

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住所:札幌市西区発寒11条5丁目10-1

メール:csapmori@sapporo.coop


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