-Story01- 「鶏は何個たまごを生むの?」知ってるつもり!?たまごのこと。

「物価の優等生」といわれてきたたまごが、最近たいへんなことになっています。高い!そもそも手に入らない!育ち盛りの子ども二人がいるわが家でも、お弁当から玉子焼きが消え、朝食の目玉焼きの回数が減りました。どうしてこうなったの?この状況はいつまで続くの?コープさっぽろの森清史バイヤーに聞きました。

—森さん、そもそもどうしてこんなにたまごが高くなったんですか?
ただでさえ飼料価格が高騰していたところに高病原性鳥インフルエンザが直撃したのが要因です。2023年3月下旬から千歳市の養鶏場3カ所で発生した鳥インフルエンザによって道内過去最多となる120万羽以上の鶏が殺処分されました。もともと北海道の採卵鶏は520万羽ぐらいいましたから(2022年2月現在)、その約2割が失われた計算になります。

—えっ!2割も減ったの?手に入りづらくなるのは当然ですよね。そもそも520万羽いたということは、北海道の人口(約514万人)とほぼ一緒ということなんですね。
はい。1羽の鶏が生むたまごの数は年間300個ぐらいといわれています。1〜2日に1個、たまごを生む計算です。そして日本人一人あたりの年間消費量は337個ですから、たまごが滞りなく行き渡るためには人口と同じぐらいの採卵鶏が必要ということになります。

—道民一人に対して鶏1羽。ほぼ毎日、わたしのために卵を生んでくれる鶏が1羽いるということ。鶏の問題は、トリもなおさず、わたしの問題ですね。この状況はいつまで続きますか?
鳥インフルエンザの感染には渡り鳥が大きく関係しています。北海道では5月半ばまで注意が必要です。一方で、被害を受けた養鶏場が元の姿に戻るまでには少なくとも1年はかかるといわれます。たまごからかえったヒナがたまごを生み始めるまでに150〜160日。安定的な供給のためには、休産期間や採卵鶏の更新時期も考えて段階的に羽数を増やしていく必要があるからです。また、飼料価格の高騰については、世界の経済動向が関係してくるので、何ともいえないというのが正直なところです。

—もうしばらくは高い値段が続くということですね。それにしても、今回のことでたまごについて改めて考えるきっかけになりました。

—そういえば、コープのお店に変わった名前のたまごがありますよね?不揃いの…。
「不揃いの玉子たち」ですね。大きさもまちまちのたまごを詰めた日曜日のセール品です。この商品が誕生したのは1995年頃。白老町の北海道種鶏農場との共同開発で生まれました。
一般的にスーパーでは「大玉」や「中玉」といったサイズごとにたまごを販売しています。けれども鶏は指定されたサイズのたまごを生んでくれるわけではありません。そのため店側がセールに備えて大量に仕入れようとすれば、生産者はサイズを揃えるために日付の古いたまごを含めて在庫を持たなくてはなりません。
でも、「大玉」「中玉」の規格を統一して、サイズが多少不揃いでもOKということにしてしまえば、生産者は「在庫を持たなくて済む」、お店は「安定した量のたまごを確保できる」、組合員さんは「新鮮なたまごを安く手に入れられる」という、三方よしになる。こういう考えのもとに生まれたのが「不揃いの玉子たち」なんですね。

—コープのPBといえば「黄金そだちたまご」もお店でよく見かけます。
ありがとうございます。「黄金そだちたまご」は2011年に誕生しました。
日本のたまごの自給率は95%を超えますが、親鶏が食べる飼料はほとんどが外国産です。たまごを生産するために、結局、たくさんのCO₂を排出してアメリカから大量のトウモロコシを運んでくるわけです。
一方で日本ではお米の消費量が減り、以前から減反政策が進められていました。政府は近年、その転換作物の一つとして飼料用米の栽培を勧めています。
そこでコープさっぽろは、竹内養鶏場(音更町)やホクリヨウにお願いをして北海道産の飼料用米をエサに活用し、そのたまごを「黄金そだち」というブランドで販売することにしました。黄金というのは、お米の稲穂が黄金色であることに由来しています。
これにより、飼料用米生産者は「売先が確保できて安定収入につながる」、養鶏生産者は「道産原料を使うことで海外から配送するよりも安く仕入れられコスト削減につながる」「鶏糞を飼料用米生産者に渡すことで鶏糞の有効活用やコスト削減につながる」、そして消費者は「北海道産の卵を買うことで地産地消に貢献できる」…。

—三方よし!
さらに地球にとっても「輸送時に排出されるCO₂が削減できる」から四方よしなんです。
おかげさまで「黄金そだちシリーズ」は、食料自給率向上に寄与する優れた取り組みを表彰するフード・アクション・ニッポンアワード2012で大賞をいただきました。

—さらっと自慢しましたね。
はい。失礼しました。なお、たまごの取り組みでいうと、コープさっぽろはアニマルウェルフェアの観点から2017年に平飼いたまごの取扱いをスタートしました。

—ちょっと待ってください。1回目から内容詰め込みすぎなので、平飼いたまごは次回に回しましょう。
ですね。それではまた改めて!


(続く)


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