-Story02- 「平飼いってなに?」飼育方法でたまごを選ぶ。

前回はコープさっぽろの森バイヤーから、いま起きているたまごの問題について教えてもらいました。それと、コープさっぽろが取り組んできた「不揃いの玉子たち」や「黄金そだちたまご」のことも。今回はその続き。コープのお店で取り扱っている「平飼いたまご」について、森バイヤーに聞きます。

—そもそもコープさっぽろが「平飼いたまご」を取り扱うことにしたのはどうして?
EUではアニマルウェルフェアの観点から、ケージ飼いの鶏のたまごの販売を禁止しようという動きがあります(※)。コープさっぽろは、同じように「平飼いのたまごを購入したい」という組合員さんの声に応えるため、2017年9月に全店で平飼いたまごの取扱いを開始しました。現在は道内34軒の生産者さんと連携していますが、あえて価格や規格を統一せず、包装パックや規格、値段もまちまち。生産者さんそれぞれが、自分の売りたい価格を付けて販売しています。

—「アニマルウェルフェア」って少し前から聞くようになったけれど、詳しく教えてください。
アニマルウェルフェア(Animal Welfare)のウェルフェアには「幸福」や「福祉」という意味があり、農水省はアニマルウェルフェアを「家畜の快適性に配慮した飼養管理」と説明しています。家畜を丁寧に扱ったり、良質な飼料や水を与えたり、畜舎を清潔に保つこともアニマルウェルフェアの一環です。そうしたなかで「平飼い」は、より鶏の習性を大切にした飼い方ということができます。

—一般的な飼育方法と「平飼い」の違いについて教えてください。
日本では、90%以上の養鶏場が「ケージ飼い」で採卵鶏を飼育しています。ケージとは金網でできた鳥かごのことです。これに対して「平飼い」は、鶏を地面の上に放す飼育方法で、鶏たちは鶏舎の中を自由に動き回ります。

—そう聞くと「平飼い」の方が鶏にストレスがかからなくて良いような気がします。
たしかにその点では「平飼い」が優れているかもしれません。ですが、「ケージ飼い」「平飼い」のそれぞれにメリットとデメリットがあることを知っておくことが大切です。

「平飼い」のメリットは、先ほど言ったとおり鶏たちが思うように動き回れることです。砂浴びをしたり、止まり木で羽を休めたり、鶏の習性に近い生活を送ることができます。ただし、それによって生産数が減るので卵1個あたりの値段はどうしても高くなります。また、鶏舎の中を動き回るので衛生管理や個体管理が大変というデメリットもあります。

「ケージ飼い」のメリットは、個体の識別が可能なため一頭一頭に目が行き届き、鶏の病気などに早く気づけることやエサの管理がしやすいこと、フンの処理もしやすく衛生的であること、そして一人で多くの鶏を管理できるので価格が抑えられることなどがあります。 デメリットは、鶏によってはストレスがかかる可能性があることでしょう。

ちなみに、飼育方法の違いで卵の品質に差が出ないこともわかっています。むしろエサによる影響の方が大きいそうです。

—どちらも一長一短あることがわかりました。
そうなんです。アニマルウェルフェアは大事な考え方ですし、一方で私たちが手軽に卵を購入できるのは高度に発達したケージ飼育のおかげでもあります。
コープさっぽろとしては、みなさん一人ひとりがそれぞれの飼育方法の特徴を知った上で、「選べる」ことが大切であると考えています。

コープさっぽろはいま、「新しい選択肢」として、白老町の北海道種鶏農場に協力をしていただき、「黄金そだち」の基準で育てた「平飼いたまご」の新商品を準備しています。
詳しくは、現地で話を聞いてみるといいですよ。

—はい!白老町へいってきます!

(続く)

※EUは2012年1月1日以降、従来型ケージ(バタリーケージ)での採卵鶏の飼養を禁止している


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