Vol.20 フランスのBio(有機)とTerroir(テロワール)

今回のフランス視察は、北イタリアのカルマニョーラというパプリカで有名な町出身のイタリア人の友人に案内してもらい、北イタリアから南フランスまで車で旅をした。その時、思いがけず出会うことができた2つの異なるbioのスーパーマーケットから学んだフランスの「bio(有機)とTerroir(テロワール)」について報告したい。

■世界の有機市場

<p>Agencie Francaise de promotion du Bio(フランス有機プロモーション機関)によると、2015年末の世界の有機生産物市場は、873億ドル(802億ユーロ)に達し、世界179か国の有機生産物の面積は農業総面積の1.1%を超え、IFOAMの試算では、約5.1百万ヘクタールになったと推察されている。中でもフランスの有機市場は、1,538,047ヘクタール、32,264の有機生産者がおり、世界の中でも有機市場を牽引する存在だと言える。</p>

Agencie Francaise de promotion du Bio(フランス有機プロモーション機関)によると、2015年末の世界の有機生産物市場は、873億ドル(802億ユーロ)に達し、世界179か国の有機生産物の面積は農業総面積の1.1%を超え、IFOAMの試算では、約5.1百万ヘクタールになったと推察されている。中でもフランスの有機市場は、1,538,047ヘクタール、32,264の有機生産者がおり、世界の中でも有機市場を牽引する存在だと言える。

出典:Agence BIO d’après différentes sources européennes Donnés fin 2016 sauf pour la Hongrie

■フランスの有機市場

<p>フランスは、農産物の自給率は多数の品目で100%以上で、EU最大の農業大国で、1981年に世界で初めて「有機農業の統一規格」の法制化した国でもある。Bio認定の「AB」マークを作成し、消費者はそのマークを見れば、有機の商品であるかどうかを瞬時に判断できるように、認定マークを作成している。今ではドイツ、オーストリア、デンマークがBio先進国となっているが、こうした有機の認証化、ロゴ化など、世界に先駆けて法制化したのはフランスである。有機商品のロゴ化によって、消費者に有機商品の認知率を高め、消費者と生産者の距離を縮める取組を世界で初めて取り組んだ国がフランスである。こうした意味で、有機市場を学ぶ際に、まずベンチマークすべき国はフランスであると思われる。</p>

フランスは、農産物の自給率は多数の品目で100%以上で、EU最大の農業大国で、1981年に世界で初めて「有機農業の統一規格」の法制化した国でもある。Bio認定の「AB」マークを作成し、消費者はそのマークを見れば、有機の商品であるかどうかを瞬時に判断できるように、認定マークを作成している。今ではドイツ、オーストリア、デンマークがBio先進国となっているが、こうした有機の認証化、ロゴ化など、世界に先駆けて法制化したのはフランスである。有機商品のロゴ化によって、消費者に有機商品の認知率を高め、消費者と生産者の距離を縮める取組を世界で初めて取り組んだ国がフランスである。こうした意味で、有機市場を学ぶ際に、まずベンチマークすべき国はフランスであると思われる。

※フランスのBioマーク

■フランスの有機生産者・小売りを繋ぐ組織作り

「有機農業の統一規格」と並んで非常に参考になるのが、有機関連の生産者・小売りなどを繋ぐ「組織作り」である。我々が訪れた「Alpilles Bio」は、Biomonde(ビオモンド)という全国で180店舗を構える商業協同組合に属している。店舗自体は、世界で1店舗しかなくオリジナルの運営をしているけれども、多くの有機生産者の商品を取り扱うことができ、品揃えも充実させることができていた。

■視察した2つのBioスーパーから感じたフランスのBio(有機)とTerroir(テロワール)

2つのbioスーパーを見て気づいたのは、フランスではbioがかなり一般的になっているということ。Bioだからと言って高すぎるわけではなく、ちょっとだけ高い程度で手頃な価格で買いやすい。産地、メーカー、パッケージデザインなど、数ある商品特徴の中、消費者自身が「bio」という特徴を自由に選択できる環境が整っていると感じた。
もう一点は、「bioはテロワールそのものだ」ということ。有機であることは、その土地を守ることにつながる。その土地らしさが「テロワール」だとすると、「有機」であることが「その土地らしさ」に繋がる大きな要因になっていると感じた。2店目に訪れた「Carfulu bio et terroir」は、店名に「bio et terroir l(ビオとテロワール)」が含まれている。お店のコンセプトが「有機とテロワール」なのである。Bioが特別ではなく、その土地らしさを表す一つだということを、これらの店舗を視察することを肌で感じられた。次から各店舗の紹介をしたい。

1.自然公園の中にある有機スーパー「Alpilles Bio」

一店舗目は、「Alpilles Bio」というbio専門のスーパーマーケット。レボーからアルルに向かう途中にある。同店は、2011年にオープンし、6000ものbio生産者とのつながりを持っている。これは、先に述べた「Biomonde(ビオモンド)」という協会に属する店舗の一つで、世界でここ1店舗だけしかない店舗である。レストランも併設されている。
中に入ると鮮度のいい生鮮食品と加工食品に、日用品、ベビー用品など中型店のSMと変わらない品揃え。価格もbio以外のSMと変わらない価格設定で、日曜日の夕方であったがたくさんのお客さんで賑わっていた。
フランスらしいと思ったのがbioの冷凍食品が充実している点。加工肉から、レンジで温めてすぐ食べられる食品まで品揃えが豊かで、多くの顧客が立ち寄り、購入していた。またもう一点日本との違いを感じたのが、bioのベビー用品が充実している点である。棚3本ほどのベビー用品が品揃えされていた。まだ出産していない私だから充実感を感じたのかもしれないが、日本のナショナルブランドの商品と比較しても、価格に大差はなく、むしろ安い商品もあった。

  • お店の入口。有機商品はフレッシュ且つ地域のものを扱っていると記載されている お店の入口。有機商品はフレッシュ且つ地域のものを扱っていると記載されている
  • 入口入ってすぐの生鮮売場 入口入ってすぐの生鮮売場
  • 飲料売場 飲料売場
  • チーズ売場 チーズ売場
  • チーズ売場 チーズ売場
  • レストラン レストラン
  • レストランのメニュー Facebookでもレストランのメニューが頻度欲アップされていてどれもおいしそう レストランのメニュー Facebookでもレストランのメニューが頻度欲アップされていてどれもおいしそう

2.世界にココだけ!カルフールのビオとテロワールのお店「Carfulu bio et terroir」

次に訪れたのは、「Carfulu bio et terroir」。このお店は、アルル付近の教育ファームを訪れた際、ガソリンが無くなりガソリンスタンドを探していた途中で偶然見つけた「有機スーパーマーケット」である。
店舗で感じたのは、有機生産者とお店やお客さんとの“近さ”である。各カテゴリーで一押しの商品には、生産者の顔写真と商品の説明がしっかり書かれている。チーズのコーナーに立ち寄った際、ついつい生産者の写真に目が行き、可能であればこの生産者の牧場で実際にチーズを買ってみたくなった。店員さんに聞いてみると、なんとその生産者さんに電話し、今日開いているかどうか確認までしてくれた。生産者のことをお店のスタッフがちゃんと分かっているのである。現場のスタッフが、生産者さんのことをここまでしっかり理解していることに、驚きを覚えた。「小売と生産者さんの距離が近い」のだなと思った。そうした小売りが商品を売っているので、購入するお客さん側も「生産者さんを近く感じられる」のだと思った。たまたま出会った店員さんが素晴らしかったのかもしれないが驚きである。

  • お店の入口 お店の入口
  • 店名に有機とテロワールの文字 店名に有機とテロワールの文字
  • バナナも一束200円ちょと バナナも一束200円ちょと
  • 生産者を紹介する掲示物 生産者を紹介する掲示物
  • 長ネギ 美味しそうでした 長ネギ 美味しそうでした
  • オリーブオイル オリーブオイル
  • パスタエンド パスタエンド
  • ベビー用品売り場 ベビー用品売り場
  • チーズ売場 チーズ売場
  • チーズ売場での生産者さんの紹介 すごく目立っていました チーズ売場での生産者さんの紹介 すごく目立っていました
  • 店舗で見つけた生産者さんのところに行きたいという私たちのために、生産者さんに電話してくださるカルフールのスタッフの方 店舗で見つけた生産者さんのところに行きたいという私たちのために、生産者さんに電話してくださるカルフールのスタッフの方

<参考文献・サイト>

視察日:2018年3月11~12日
通訳・コーディネート:Pier Giorgio Girasole
写真・文:星野浩美

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