Vol 11. 料理技術のデータオープン化の第一人者 ルイス・イリサール氏の料理学校

ルイス・イリサール(Luis Irizar)氏とは

1930年キューバ生まれ。4歳でスペインに移住。
16歳で、ホテル・マリア・クリスティーナに見習いとして就職。パリのロイヤル・モンソー、ロンドンのヒルトンなどで働き、1967年、37歳の時にスペインのサラウスにある「ホテル・ユーロマール」付属のホテル学校の設立に関わり、教鞭に立つ。この時は料理だけでなく、ホテル全般の業務の教育に関わる。
その後、1992年11月(63歳)にルイス・イリサール料理学校(Escuela de Cocina Luis Irizar(エスケラ・デ・コッシーナ))を設立。今に至る。

ルイス・イリサール料理学(Escuela de Cocina Luis Irizar(エスケラ・デ・コッシーナ))概要

スペイン バスク地方のサンセバスチャンの旧市街にある、料理学校。首都マドリードから飛行機で1時間程度の場所に位置する。

開校は、1992年11月。生徒数は、56人(1年生:28人、2年制:28人)バスク、スペイン国内をはじめ、世界中から生徒が集まる。学校の運営は、校長であるルイス・イリサール氏の他、4人の娘さんの内3人が経理をはじめとする運営に関わり、1人はルイス・イリサール氏と同じ先生を務めている。
イリサールさんも、先生を務める娘さんを「私のDNAを最も引き継いでいると思う」と笑顔を浮かべていた。

学校見学は、応相談(info@esculairizar.com)とのこと。
(英語可)所在地:Mari Kalea, 5, 20003 Donostia, Gipuzkoa 電話:943 43 15 40

  • ルイス・イリサール料理学校から見えるラコンチャ湾 ルイス・イリサール料理学校から見えるラコンチャ湾
  • 料理学校の外観 料理学校の外観

ルイス・イリサール料理学の成り立ち

フランスの「ヌーベル・クイジーヌ」といわれるフランス料理の復興活動をベースに、「新しいバスク料理を創造し、料理を知的財産化していこう」という取組が「ヌエバ・コッシーナ・バスカ」。この第一人者が、ルイス・イリサール氏であり、それを学べるのがこの料理学校。

今まで「料理は目で盗め」と言われる料理会の中で、知的財産化した料理のエッセンスを情報共有し、更にバスク料理のレベルをアップしていこうというオープンマインドの精神のもと、作られた料理学校で、バスク料理のレベルの維持・発展のためには料理学校の存在は不可欠だと考え創設された。

ルイス・イリサールさんにお目にかかり、その優しいお人柄と、教えることが好きだというお話から、彼だからこの料理学校が出来たことなのだと実感した。

本料理学校では、伝統的なバスクの料理と、フランスをはじめとしたヨーロッパ全土の料理、またアジア・チリなど世界中の料理を実践的に作り、学ぶことができる。大事にしているのが実習の時間。学校での学びと、サンセバスチャンでのレストランでの実践の比率は5:5。座学で学んだことを実践できる場があることが大事だとおっしゃっていた。生徒達がサンセバスチャンのレストランで働けるのも、ルイス・イリサールさんのお力があるかるからこそ!

ルイス・イリサールさんとのディスカッションからの気づき

ルイス・イリサールさんに、私どもの食に関わる取り組みをお話させていただいたところ、まさにやるべきことをしているね。素晴らしいとお話しいただいた。
それとともに、函館にいらしたことがあるルイス・イリサールさんは、函館湾はサンセバスチャンのラコンチャ湾にとっても似ていることと、函館の方がもっと豊かな漁場で、たくさんに種類の魚がとれると思うともおっしゃっていた。

ルイス・イリサールさんからいただいたアドバイスで印象的だったのは3つ

1)コープさっぽろとして料理人を雇い、本当の美味しさを伝えること

イリサール氏から、「コープさっぽろには料理人がいるの?」との質問。元料理人の方はいらして、惣菜のプロデュースなどしていただいていると申しあげたところ、「食べ物の美味しさ、本物の味を伝えるために、店舗でも料理人が作って、パフォーマンスして食べてもらうのはとっても大切だよ」とアドバイスをいただいた。
確かにそうだと思った。そしてルイス・イリサールさんも、こうした取り組みをされているとのこと。こうしたことは、「コラボレーションして色々やることが出来るよ」ともお話しいただいた。

2)「本物の味」を小さいときから体験すること

お魚を1種類しか食べずに育った人と、4種類のお魚を食べて育った人では、料理人になった時に料理の幅、イメージが全く異なる。だから小さいときから色々な食材に触れること、食べることが大切だと教わった。

3)たくさんの場所に行って、学び、自分で体験すること

ルイス・イリサールさん自体、この料理学校のスタイルは、スイス式。その他にもイギリス、フランスなど、ヨーロッパを周り、自分自身で体験して、必要だと思うことをこの料理学校で実現している。
だから、色々な場所に行ってみること、自分の目で確かめることが非常に重要であることを学んだ。

最後に、「次に君に会うまでに、今日やりたいと言っていたことを、一つでも実現するんだよ!」と笑顔でお話しいただいた。頑張るぞー!

  • イリサール料理学校の後継者である娘さんと イリサール料理学校の後継者である娘さんと
  • 函館の世界料理学会にも参加されたことがあるイリサール料理学校の先生 函館の世界料理学会にも参加されたことがあるイリサール料理学校の先生
  • この日はチョコレートのトリュフを作成。美味しかった この日はチョコレートのトリュフを作成。美味しかった
  • 左は会計などをされている娘さん。素敵な皆さんでした! 左は会計などをされている娘さん。素敵な皆さんでした!

※ルイス・イリサール氏及び、料理学校の情報は取材及び雑誌「DUCARE 」No.14 2012年12月号 P.99-101」を参考に作成

2016年3月1日(火) 星野浩美

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