2025.12.23

-Story01- 「僕らの発想になかった 納豆ができあがった」 企画した森さんのホンネ


まずお話を伺ったのは、プロジェクトを企画した北海道はまなす食品株式会社の専務取締役・森清史さん。「組合員さんの声を聞いてみたい」。その率直な思いから始まった商品づくりでしたが、気づけば「僕らの発想にはなかった要素が、結果的に全部詰まった納豆になった」と振り返ります。はたして、完成したのはどんな納豆だったのでしょうか。

組合員さんが求める納豆って?

——プロジェクトを企画した理由から教えてください。
僕自身、北海道はまなす食品には、1年半ほど前にコープさっぽろからの出向で来ました。バイヤー時代から温めていたアイデアもあり、いくつか商品をリリースしたのですが、思ったほどは売れなかった。組合員さんが何を求めているのか、その答えをきちんと出せていない——そんな感覚がありました。それなら原点に立ち返って、「組合員さんの声を聞いてみたい。一緒に商品をつくりたい」と思ったんです。ちょうどコープさっぽろの60周年という節目でもあったので、「お祭り感」を楽しんでもらえたら、という思いもありました。

——具体的には、どのように組合員さんの「声を聞いた」のでしょうか。
組合員の代表である組合員理事の皆さんに、まずアンケートをお願いしました。「どんな納豆が食べたいか」をテーマに、各地区の意見を取りまとめて提案してもらったんです。そうして集まったアイデアを、コープさっぽろのバイヤーとも相談しながら三つに絞り込み、たれメーカーに試作品をつくってもらいました。

——三つの候補とは?
「砂糖しょうゆ」「ゆず胡椒」「ごま油塩だれ」です。これらを、組合員理事の皆さんに食べてもらい、意見を聞くことにしました。

「一番ない」と思ったあの味に!?

——皆さんの反応はいかがでしたか?
正直にいうと僕が「一番ない」と思っていた「砂糖しょうゆ」に、最も多くの票が集まったんです。北海道の一部地域で、納豆に砂糖を入れる方もいるとは聞いていましたが、多数決で一位になるとは想定していませんでした。
もちろん意見は割れました。ほかのたれもクオリティが高かったからです。

——納豆に、砂糖。たしかに意外です。
やっぱり直接聞いてみないと分からないものですよね。ただ、納豆に砂糖としょうゆを混ぜるだけなら、家でもできます。理事さんからも「家庭ではつくれない価値がほしい」という声がありました。シンプルなだけに、難しいお題です。
そこで、たれを製造してくれている福山醸造さんとも相談しながらブラッシュアップを重ねていきました。まず原料は、北海道産にこだわりました。しょうゆは北海道産丸大豆を使ったものを、砂糖は北海道産のてんさい糖に。コクを出すため、あえて精製度合いの低いブラウンシュガーにしました。さらに北海道産てんさいからつくった糖蜜も加えました。

——家庭の「砂糖しょうゆ」とは、別物ですね。
そうなんです。正直、けっこう原価がかかっています。さらに、理事さんから「ひきわり納豆がいい」という意見も出ました。ひきわりにすると工程が一つ増えるので、コストはさらに上がります。
そこで皆さんに「かなり高い商品になってしまいます」とお伝えしたところ、「だったら3個パックじゃなくて2個パックにしてみては?」という声が返ってきました。なるほど。それなら売価を100円ぐらいにできるぞ、と。それで最終的に2個パックに落ち着きました。

商品づくりの「その先」も体験してほしい。

——振り返ってみて、いかがですか。
僕らの発想にはなかった要素が、結果的に全部詰まった納豆になりました。砂糖しょうゆという発想もなかったし、ひきわりのフレーバー商品もこれまでやったことがない。高くなるなら2個パックにしようという考えも、最初はありませんでした。そうした一つひとつが重なって生まれたのが、今回の商品です。納豆メーカーの「常識」を軽〜く飛び越えた。おそらく、日本全国を見渡してもオンリーワンの納豆でしょう。
その中でも、北海道産原料へのこだわりや、北海道の地域文化がベースになっている点で、本当にコープさっぽろらしい商品ができたと思っています。

——この商品、どんなふうに育ってほしいと思いますか。
もちろん、売れたらうれしい。たくさんの方に食べてもらえたらと思っています。
ただ一方で、もし売れなかったとしても、それはそれでいいと、個人的には考えています。この商品をきっかけに北海道はまなす食品に注目が集まり、ほかの商品を手に取ってもらうきっかけになればいいですし、なにより組合員さんに、商品づくりのその先にある「マーケットの反応」まで感じてほしかったから。
売れたときの喜びも、売れなかったときに得られる学びも、どちらも次につながります。
この結果を受けて、「じゃあ次はどうするか」を考える。もっとコープさっぽろらしさを、もっと北海道はまなす食品らしさを追求したら、どんな商品が生まれるのか。振り返りの場を設けてみんなで話し合いながら、次へとつないでいけたらいいなと思っています。
それが結果的に、道外や海外にも届く商品になったら——それって、面白いですよね。

——森さん、ありがとうございました。次回は組合員さんの座談会をお届けします。

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