2025.4.30
-Story 02- 実際どうなの? プロに聞いてみた


コープさっぽろの組合員さんと一緒にバタぽん™を盛り上げようと、発売前に二つのイベントが行われました。一つは“バターマニア”長尾絢乃さんのバター教室、もう一つは札幌のイタリア料理店「S e m i n a(セミーナ)」田中寿史シェフによる試食会です。ところで、バタぽん™ってプロの目から見てどうなの?せっかくなので聞いちゃいました。


2024年10月25日、コープさっぽろ室蘭地区本部を会場に、バターマニア・長尾絢乃さんによるバター教室が開かれました。
学生時代に実習で十勝を訪れた際、牧場で飲んだ牛乳に感動し、乳製品にどハマりしたという長尾さん。以来、国内外のバターを味わい尽くし、その広くて深い知識を生かしてテレビ番組での解説や百貨店の催事監修、メーカーの商品監修などを行っています。
今回のバター教室は、長尾さんがバタぽん™の開発に商品監修として関わっていることから実現。全道各地の組合員活動部と会場をオンラインでつなぎ、多くの組合員さんが長尾さんの軽快なトークに耳を傾けました。
教室では、バターの定義や歴史、種類、製造方法といった“バターのきほんのき”をおさらい。身近な食材でありながら意外と知らないことも多く、参加者の皆さんも興味津々。種類の説明では「有塩/食塩不使用」に加え、「発酵/非発酵」という分類も紹介されました。
日本ではあまりなじみのない発酵バターですが、フランスでは9割以上のシェアを占めるほど一般的なのだそう。特に加熱したときの香りは格別で、長尾さんは「幸せな気持ちになります」とうっとりした表情で語ります。
教室の最後には、非発酵の有塩バター、食塩不使用バター、発酵バターの3種類を食べ比べ、香りや味の違いを体験しました。室蘭市内から参加したある組合員さんは「バターにも種類があることは知っていたけど、こうやって同時に食べ比べたのは初めて。違いがよく分かったし、世界が広がった」と笑顔で話してくれました。


それでは、ここからは長尾さんのインタビューをお届けします
——バター好きから見て、バターとぽん酢の組合せはどうですか?
長尾 最高の組合せですね。バターしょうゆもテッパンではありますが、それではクドいという意見もあって。その点、ぽん酢は後味がすっきりしているので、コクのあるバターとはある意味で相反していながら、ケンカすることなく、無限ループできちゃいます。
——バタぽん™に発酵バターを使用することになったのは、長尾さんのアドバイスがきっかけだったそうですね。
長尾 最初の試食会でミツカンさんから加熱調理に使うことも想定していると伺ったので、「熱を加えるなら発酵バターの方が香りが出ますよ」とお伝えしました。それから実際に試してくださって、バターの香りが印象的な商品を作ってくださいました。
——完成したバタぽん™は、いかがですか?
長尾 いろいろな料理に使える調味料です。特に北海道産ホタテとの相性はバツグンですね。
開発中のことなんですが、試作品をもらったので、スーパーでホタテを買って冷蔵庫にしまっておいたら、知らないうちに夫が全部食べちゃってて夫婦ゲンカになったことがあります。実は夫は酸っぱいものが苦手。ところがバタぽん™と合わせたら「まろやかでおいしい」って、箸が止まらなかったんです。罪な調味料です。
——商品に対する期待感は?
長尾 めちゃめちゃ期待しています。
バターの原料は生乳です。それはつまり、牛のお母さんのやさしさです。ところが、牛乳はさまざまな事情で生産調整を余儀なくされ、牛たちは翻弄されています。私たちにできることは、乳製品をおいしく味わい、安定的に消費することだと思います。バタぽん™が乳製品の消費拡大に一役買ってくれることを願っています。


バターマニアお墨付きのバタぽん™ですが、実際にはどう使ったらいいのでしょうか。
ヒントを教えてもらうため、2024年11月26日、田中寿史シェフをコープキッチンスタジオ(コープさっぽろルーシー店3階)に招き、試食会を開催しました。
田中シェフが用意してくれたのは次の4品です。パスタをゆでるときに使う塩以外は、バタぽん™以外の調味料はなし。素材の味とバタぽん™で勝負します。
<前菜 Appetizer>
アスパラのフライパン焼き ツナとバタぽん™のソース
<スープ Soup>
寒玉キャベツと金時豆のミネストローネ バタぽん™風味
<パスタ Pasta>
ホタテとほうれん草とバタぽん™のスパゲッティ
<メイン Main>
真鱈とキノコのヴァポーレ 粒マスタードバタぽん™ソース
田中シェフは調理のポイントを説明しながら参加者の目の前で料理を仕上げます。鮮やかな手つきもさることながら語り口も軽妙です。イタリアでの修業の話、北海道食材の魅力、生産者から聞いたとっておきの話。「パスタをゆでるときはおまじない程度ににがりを入れて」「ほたては手で割くと食感が良くなりますよ」といった、家庭でも実践できそうな技も教えてくれました。
料理ができたそばから1皿ずつ試食します。
まずはアスパラ。ツナとバタぽん™のソースは、ツナマヨのようでありながらクドさがなく、アスパラの風味を引き立てます。続いて完成したミネストローネは、上にのせたバタぽん™のほんのりとした酸味が食欲をそそります。パスタはプリッとしたホタテが絶妙。メインの真鱈はバターのコクが加わってリッチな味わいに。タラをおろすときに出たタチ(白子)を使った”おまけの一皿”も登場。これまた絶品でした。
参加した組合員さんからも「一つの調味料でこんなにも味が変わるのが驚き」「バタぽん™をツナに合わせるとは想像もしなかった」といった感想が聞かれました。さらには「野菜との相性がすごくいい。玉ねぎやブロッコリーなどの温野菜にも合いそう」といったアイデアや、「さっそくほかの人に教えたい」といった声も。
おいしくて、ためになる。貴重なひとときでした。


試食会の後、シェフに話を聞きました。
——ごちそうさまでした。どの料理も素晴らしかったです。今日の料理は、バタぽん™しばりがある中で、どのように考えられたのでしょうか。
田中 バタぽん™は、さまざまな要素を併せ持っています。酸、コク、うまみ、塩味。大きくいうとこの4つです。それぞれを〈つなぎ役〉に、食材とどう組み合わせるかを考えました。
例えばアスパラですが、アスパラといえばマヨネーズですよね。マヨネーズとバタぽん™には2つの共通項があります。酸とコクです。ただしバタぽん™は、マヨネーズほど油脂が強くない。これを逆手にとって軽めのツナマヨを作ろうと考えました。
また反対に、真鱈のヴァポーレ(蒸し料理)は、バタぽん™が持つコクを強調したかったので、バターを追加してコクを前面に出しました。
パスタには酸の要素を使いました。酸は加熱すると揮発します。これを料理に生かします。口の中で感じる酸っぱさではなく、酸辣湯やトムヤムクンのように鼻腔で感じる酸です。
要素の中から何を引き出すか。それは調理の仕方や素材との合わせ方によって変わります。そのままかけるのか、食材と混ぜ合わせるのか、それとも加熱するのか。調理法一つで味わいが変化する、おもしろい調味料ですね。
——要素に分けて考えるというのはすごくヒントになります。商品としてはいかがでしょうか?
田中 発酵バターとぽん酢の組み合わせがいいというなら、別々に買って合わせれば済む話です。なぜわざわざ商品化する必要があるの?って考えがちですけれど、この商品はただ混ぜただけじゃない。何が違うかというと〈乳化〉です。
バターとぽん酢を家庭で乳化させるのは結構めんどくさいもの。ところが、この商品は発酵バターとぽん酢が一体化しているから使いやすいんです。油とうまみが乳化によってきれいにつながっているから汎用性が高い。非常に完成された調味料だと思います。
——ご家庭で使うときのコツはありますか?
田中 かけ過ぎない、入れ過ぎないことですね。バタぽん™は香りと味がしっかりとしているので、素材の味を楽しむなら、どっぷりつけたり、ジャバジャバかけるのではなく、おしゃれに味わってほしい。特に魚介類や野菜と相性が良いので、今日のようにいろいろな料理に使って楽しんでほしいと思います。
——本日はありがとうございました。
いよいよ発売!Story03では販売を担当するバイヤーのインタビューをお届けします。